固形飼料と赤虫

ベテランは、魚を縦に延ばす時期と幅を持たせる時期を心得ている。それは日々の観察を5とすれば、感覚的なものが5と考える。もちろん縦・幅と言うのがどちらか一方のみということはない。どちらかというと、幅もつきながら縦中心で成長するだとか、逆に全長もついてくるが幅の方が目立って出てくるということである。

そう考えると、13cmを超えた我が城の当歳魚は幅が出てくる時期で、多給餌することでボリュームを作る!

この時にありがたいのが固形飼料である。稚魚から少なくとも青子位までの生活環境の違いによって魚自体が大きく変化することを金魚の三大生産地の弥富で教えてもらったことがある。
らんちゅうを見ると、野池(田に水を張った池)で育てた魚と、昔流行だった叩き池(セメント製池)とで育てられたか一目瞭然。野池では体が大きく、それに合わせて鱗が大きい。作り方・管理法も違うが、全体に「芋」と呼んでも良い魚が多くいた。
一方、おそらく野池育ちだが、少しばかり雰囲気が違う魚が並んでいたことがあり、聞いてみた。すると、叩き池で孵化から何回か選別作業はしたが、その後野池に放ったことを聞き出すことが出来たのだ!
とすれば、素地を作る初期の餌を含めた管理法はとても大切ではないか?

そう言う意味で、我々は野池で魚を作る訳ではない!しかし、水換えや飼育密度、餌の種類と量で飼育者毎に差がある。その中でも大きな要素が餌と言える。
そこで問いかけたい!何故赤虫を青子から最低色変わり(褪色)時期まで使うブリーダーが多いのか?赤虫などは80%が水分。しかし、おそらく栄養バランスが良いのであろう。(これは私の経験でのみの意見だが)頭の出来が違うと言える。瘤の出方や柔らかく肥大すると言ったらいいであろうか…。
最近は本当に様々な固形飼料が出ており、上手に使えば魚を赤虫並みに作れるはず。
とは言えミジンコやブラインシュリンプに始まり、赤虫に切り替えたブリーダーに軍配が上がっていると感じるのはたまたま私の周辺だけだろうか?
そして不思議なことに色変わり後は、固形飼料が多くなる。固形飼料は水分量が20%前後という資料を見たことがある。そうすると、水が多い赤虫より、固形飼料は魚を大きくすることに特化しているのか?たんぱく質も45%前後で作られ、赤虫腹一杯よりも固形飼料腹一杯の方に軍配が上がるためかと察する。またコストパフォーマンスは圧倒的に固形飼料はリーズナブル。

かく言う私は赤虫と固形飼料の両方を交互に与え、両方の良さを引き出せる努力をしている。今のところ良好?かなと思っている。
固形飼料の良さに、嗜好性の良さがある。ただ与え方を誤ると水質汚濁など厄介なのも固形飼料ではないか?

話はそれるが、アカコ(私の地域では糸ミミズをそう呼ぶ)を与えた経験は有るだろうか?この餌を与えると、これはこれで独特な魚に仕上がる。
かつては養鰻場の近くの用水にいっぱい湧いていた。鉄枠に防虫網(鉄製)を取り付け、スコップの型に。その網で赤くなっている泥を掬う。若干揺すって泥を落とし、ほぼ泥ごとタライに入れる。急いで持ち帰り、タライに覆いをして暗くして放置。すると、糸ミミズだけが塊になって泥の上に集まる。それを手で簡単にめくれば糸ミミズ捕獲完了。ただし、塊の中心から圧死のように死ぬので、浅い容れものに塊を入れ、本当に微量でいいので水を落として新鮮な水に保ちつつ、時にほぐしてやると結構保つ。泥をしっかり吐かせたものを金魚に与えるのだ。ただし、現在は用水も場所によっては衛生上よくない事もある。私は全国的に鰻養殖で有名な愛知県のど真ん中の一色で採取していた。ただ、一色町にある川合鑑賞魚でキロいくらで販売(韓国からの輸入)が出始めたのと、固形飼料の進化と共にやめた。一時間以上走って、ドブ掃除をするのがしんどくなったのだ。
しかし、昭和の頃はこの生きた餌が重宝した時期もあったのを、紹介しておく!