フリーペーパーについて

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かなり前に廃刊となったフリーペーパー「月刊らんちゅう」。現在は「金魚仲間」に代わって再スタートしている。
フリーペーパーだからタダ(無料)。とは言え、結構充実した内容が素晴らしい。魚の写真はインターネットで見られる昨今、本当に欲しいのは情報である。かつてはらんちゅうの関連の雑誌など購入していたが、一般論のものが多い!たまたまこのフリーペーパーも捨てずに全部残してあるが、改めて勉強にはなる。

さて私も依頼を受けて投稿した!金魚と塩との関係を書いた。骨子は以下の通りだったと思う。

生物は外界と体内の境に皮膚などを持ち、塩分濃度などが勝手に濃くなったり、薄くなったりしないように出来ている。
魚にもよるが、魚の体液を塩分濃度で例えると0.9%である。人工授精で使用するリンゲル液(リンガー液)がその濃度。元々臓器移植の際などで臓器を生かせておける液なので、魚の人工授精応用は、体内の卵や精子に優しいことは理解出来る。この濃度の際は体内環境と同じになるので保存が若干利くのと、とりわけ卵がくっつき合わない!

淡水魚の場合、仮に塩分濃度0である淡水で暮らしていて何故体内濃度が薄くならないかと言うと、浸透圧調整という大事な働きをしているからである。ナメクジに塩をかけると、外界の塩濃度とナメクジ体内濃度の違いで、ナメクジ体内から水分を出して体内濃度を急に上げて合わせる。その時溶けるようにナメクジは小さくなる。極端ではあるが、浸透圧とはそういうものである。
淡水魚は、口から水を飲み、微量のミネラルを取り入れ、水を排出する。つまり、常に体内濃度を維持出来るようにしている。逆に海水魚は外界の方が塩分濃度が高いので、ミネラルや塩基を排出し続けないと体内濃度は高くなり過ぎる。当然魚病薬を入れても、淡水魚は薬を取り入れようとするのに対し、海水魚は生理機能として排出するので効きが悪い!
この浸透圧調整という大事な働きは、平常の時は気にすることはないが、とりわけエラの調子が悪いなど魚が弱った時は、調整が鈍る可能性がある。当然体内濃度維持が、コントロールしにくくなり、余計に弱る!そこで人為的に塩を投入し、浸透圧調整に使うエネルギー消費を抑え、薬との併用などで魚本来が持つ治癒力を発揮させることである。
一部効果のある場合を除き、殺菌のための塩投入ではない!ということである。そもそも、治療の時、体内濃度0.9%より少なく塩投入をする。この濃度では滅菌、殺菌は出来ない。
あともう一つは亜硝酸の悪い作用を抑える効果が期待出来、塩がよく使われてきた理由が納得いく。先人は理屈ではなく、感覚的に知っていたのだ!